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マリア像 無残な姿やるせない

原爆によって旧浦上天主堂は破壊され,がれきの中からマリア像の頭部だけが見つかりました。熱戦によって頬と髪は黒く焼け,目は空洞になりました。今は「被爆マリア」と呼ばれます。自らを犠牲にし原爆がもたらした惨状を私たちに伝えようとしたのでしょうか。

体は爆風でバラバラになったのか,それとも燃え尽きたのか知るすべもありません。ただ頭部だけになった像は,何かを訴えているように感じました。せめて私の絵の中だけでも失われた体を取り戻したいとの思いで筆を執りました。この絵に光が差し込むのは,原爆当日は長崎の上空には雲があったものの晴れていたと聞いたからです。そこに落とされた原爆によって空は一変。巨大な原子雲で覆われ,その下では大勢の市民や信者,マリア像が無残な姿になってしまっとというやるせない思いがあります。                                   ウエダ清人

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